武漢滞在記

初めて中国を訪れ、文化の差や価値観など自分の感じたことをまとめてみた。個人の感想なので実体とは異なる可能性があるので、自己責任の下閲覧してほしい。なお、都合上時系列が前後する場合がある。

 

 

武漢一月前

きっかけは単純だった。院試も終わり、研究室で作業をしていた時、担当教員が話しかけてきたのだ。「武漢大学に行ってみない?」と。しかしながら、即座に返事はできなかった。

私は二つのことを考えていた。費用に関すること。安全や健康に関すること。中国について知ってることがPM2.5とかスキミングが危ないとかその程度しかなかったのだ。逡巡している私の気持ちを知ってか知らずか、教授は口を開く。

「あ、費用は全部向こう持ちだよ」

「行くに決まってるじゃないですか、中国好きですよ」

こうして武漢大学に行くことが決まった。

 

武漢五日前

あれから音沙汰もない。もしかして中止になったのだろうか、と不安になりながら研究室のディスプレイとにらめっこに興じているとslackに通知が入る。そこには簡単なスケジュールとスライド発表について書かれてあった。スライド発表、日本語でもまだしてないのになぁ。とはいえ私はまだ卒論を発表できる段階ではないのでB4として書ける範囲のものを書けばいいらしい。同伴する教授二人とM2の先輩は当然内容がしっかりあるものなので、恥のないように準備しなければ。

 

武漢前日夜

スライドもパッキングも終わってない。両替しようとしたら郵便局は定休日。ははは。スキミング怖いけど、とりあえずクレジットカードと衣類だけ詰め込んで明日に備えた。

 

 

武漢初日

-初日 朝-

武漢についた。外気温は京都と似ているが、晴れ間が殆どないので少しどんよりとしていた。現地の教授と顔を合わせ、宿泊する場所に行くため車に搭乗した。

 

-幕間 建築-

目に入るビル、ビル、ビル。ひたすら高層ビルが多い。一軒家などあるはずもない。どこまでも曇り、蒸籠みたいなショッピングモール、打ち捨てられたようなビル。なんだか退廃した世界を模したゲームの中にいるようで、少し興奮した。建物自体は機能最小限といった感じでベランダなど特になく、室外機も棒二本で支えられているだけだ。市街地に入ると、一階のフロアは押しなべて何らかのお店を営んでおり二階以上は居住地といった様相である。日本発の店舗は多くなく、自国のもので補っている印象だ。

 

-初日 ホテル-

見慣れないものに一々感動していたらホテルに着く。名前はものすごく強そう。数時間もの移動時間で疲れていた私は、早く部屋につきたいなと思いながらチェックインをする。と、先方から私たちそれぞれに封筒を手渡してくる。中国元だ。現地で困らないようにと、発表の給金も込めて、なのだろう。大志を確認しながら部屋に着くと、そこは日本と大差ないように思えた。Wi-fiはしっかり飛んでいて、トイレはTOTO製でウォシュレットが付いている。文句なし。先輩と共に荷物整理をし、晩御飯に向けて玄関へ。

 

-幕間 特産品-

武漢では広大な湖を保有しており、その特性を生かした蓮根が特産品である。そのため蓮根を用いた料理、排骨藕汤が有名だ。これは牛骨と蓮根を一緒に煮たものである。我々の知っている蓮根とは違い少々ピンクがかっており、食感もほろほろとしていて優しい味がする。武漢にきたら必ず目にする一品だ。

 

-初日 晩御飯-

日中の教授陣が中国語で会話しながら、私たちはご飯処へ着いた。いわゆるファミレス、といった感じのお店だ。先方が慣れた感じで注文する。料理が記載された紙製のメニュー。鉛筆でさらさらとチェック、及び個数を記入していく。そして店員にそれを差し出す。なるほど、こういう注文様式もあるのだな。目の前に並んでいく。お腹の虫が訴える。食べる、食べる、食べる。いや辛い。めちゃくちゃ辛い。水は常温しかないため他の食べ物でごまかすしかない。丸々と入った大蒜はその本来の旨味と風味をガツンと殴りかけてきてめちゃくちゃ美味い。どの料理も強烈な旨味が口の中を支配してくる、徐々に蓄積する辛さが早く食べ物を口にするよう責めたてる。蓮根スープと蓮根ジュースが荒くれ物たちをいやしてくれる。そしてキリっと冷えた地ビールを流し込む。大満足。一人当たり1000円ぐらいでこれだけのボリュームが食べられることに驚いた。

 

f:id:VP_lenneth:20190923195631j:plain

初日晩御飯

 

-幕間 交通-

交通手段は主に車であるようで、日本よりも信号は少ないように感じる。車のマナーは岡山並で、車線変更にウィンカーがまず出ない。そこらじゅうでクラクションが鳴っている。並の日本人なら発狂しそうなカオス具合であったが、事故が起きそうな気配は全くない。運転スキルはめちゃくちゃ高かった。原付、のようなものに乗っている人が多くいた。マフラーがついておらず、駆動音も全くしないため恐らく電動ではないだろうか。自動車も原付もどこか泥っぽく、洗車とかはしないのだろうかと思った。

 

-初日 帰り道-

f:id:VP_lenneth:20190923201021j:plain

ネオン街

辺りはすっかり暗くなり、中国の町並みはぎらぎらとしたネオンに包まれる。整然としたショッピングモールや屹立としたビル群にとても映えており、あまりイルミネーションに惹かれない私でも心が躍ってしまった。初日はいろんなことがあった。部屋に戻って疲れをいやすことにしよう。

 
-幕間 ネット環境-

中国は社会主義。そこではLINEもTwitterも使えない。連絡を取るためには現地製のアプリを使用しなければならない。Google製のものは検索エンジンでさえも使えない。困った。娯楽アプリが一切できない。ニコ動もyoutubeも全ての娯楽がつぶされてしまった。折角だし携帯から離れる生活も悪くはない。ニコ動みたいなサービスもあることだし。実は中国に居てもVPNの設定をすれば、設定先の国で使えるサービスは使うことができるのだ。同室の先輩は早々に設定して、東海オンエアを楽しんでいた。

 

武漢二日目 

-二日目 朝-

朝ごはんはホテルで済ませた。バイキング形式だが殆ど油物なため、朝から結構重い。

 

f:id:VP_lenneth:20190923201324j:plain

二日目ご飯
-幕間 bilibili動画1-

一言でいうと、ニコ動の上位互換。アニメはちゃんと公式から放映されていて、中国人用に字幕までつけられていた。しかも、最新話の最初の一週間のみ有料。ニコ動とは真逆の料金システム。つまり、一週間さえ経てば放映されているアニメは見放題なのだ。しかも日本語で検索すれば対応するアニメもしっかり表示される。ニコ動でやってなかったのですっかり忘れていた” 擅长捉弄的高木同学”を視聴した。使用感としてはニコ動とyoutubeの間ぐらいでニコ動寄りといった感じだ。プレイリストでまとめられていたり、大体見れば操作できるし個人的にはめちゃくちゃ使いやすい。

 

-二日目 大学見学-

やはり中国、めちゃくちゃでかい。グラウンド一つとっても、正門一つとっても、何から何まで大きい。構内は平気で車やバイクが走っているし、歩行者は平気で車道を歩いている。クラス間を移動するためのスクールバスもある。乗車賃は一元(約15円)だ。大学構内のサービスはすべて学生証で享受でき、キャッシュレス化が進んでいる。

 

-大学写真群-

 

f:id:VP_lenneth:20190923201749j:plain

入場門

f:id:VP_lenneth:20190923201806j:plain

校風

f:id:VP_lenneth:20190923201821j:plain

校内の美術館

f:id:VP_lenneth:20190923201837j:plain

伝統的な寮

f:id:VP_lenneth:20190923201910j:plain

"机"学院




-二日目 食堂-

入口を駅舎のように学生証を持つものだけが入れる仕組みだった。うちの大学もこれを導入してほしい。時間も時間なので、通勤ラッシュさながらのように通過する。さて、料理を注文しようとすると、それぞれの場所で貼り紙があった。「两荤一素10元」「一荤两素8元」などなど。先方の教授に聞いてみると、荤や素はそれぞれ肉のおかず、野菜のおかずを表していて接頭字は選べる種類の数を表している。つまり两荤一素なら、肉を二種類、野菜を一つ選べるわけだ。ご飯は勝手に付随してくるので、これだけのボリュームで約150円。安すぎる。当然、味は濃い。

f:id:VP_lenneth:20190923202255j:plain

f:id:VP_lenneth:20190923202317j:plain

食堂

 

-二日目 おやつ-

学生二人は自由行動ということで、二人で街に繰り出した。大学の敷地内にあるというイオンみたいなショッピングモールを歩き回った。武漢大学、敷地が大きすぎやしないか?現地で流行ってそうなカフェを見つけ、ケーキとドリンクを注文する。初めて自分たちのお金を使ったが金額は48元。痛くも痒くもない。辺りには飲み物片手にパソコン作業している人がいたりして、ほとんど日本のスタバと変わらなかった。店名は「奈の雪茶」というらしい。

 

f:id:VP_lenneth:20190923202446j:plain

草苺魔法棒と飲み物
-幕間 縁起物-

日本では1を起点として、縁起の悪い4をさけてナンバリングするが、中国では異なる。縁起の良い数字から好き勝手に取ってくるのだ。中国では8や9が縁起の良い数字とされており、その数字にまつわる番号を冠していることが多い。

 

-二日目 晩御飯-

中合わせて教授陣が7,8名ほどと食事と相成った。所謂ターンテーブルの席に通された。部屋番号は999。こちらの教授がこそっと、この店で一番良い部屋ですよ、と耳打ちしてきた。わぁ、緊張してきた。学生の僕、場違いじゃない?手始めに白酒を手元のグラスに注がれていく。さすがは高い度数だけあって匂いだけでもやられそうだ。また、部屋に専属の配膳する人がいて色々とお世話をしてくれた。どの料理もおいしかったのだが、特筆すべきは川魚の料理だ。臭みがあると聞いていたのだが決してそんなことはなかった。適切に調理されたそれは、まるで処女雪を散らすかのようにふわりと口でほろけながら、魚の持つ甘みが鼻腔いっぱいに広がっていった。日本では味わえない食材、料理に舌鼓を打ち、今日も大満足でホテルを後にした。

 

f:id:VP_lenneth:20190923203208j:plain

本当の中華三昧

 

-幕間 bilibili動画2-

所謂”例のアレ”も盛んに作られており、団長のBBが未だに作られていた。使用例もクオリティがめちゃくちゃ高かったし、いつものシーンがCG回収と表現されていて笑っちゃった。団長は中国でも人気らしい。私はいまだにニコ動ユーザーであるが、アップデートに期待するよりもbilibiliで中国語を学んだ方が早い気がする。ほとんどの動画が日本語なので全然楽しめるし、なんならコメントも雰囲気で読めてしまうのだ。(团长!你在干什么啊团长!) ちなみに例のアレはinmだし、ぬきたしは抜作島と表現されるらしいよ。無駄な知識だけど。

 

武漢三日目

 

-三日目 朝ごはん-

今日も今日とてホテルで朝ごはん。ルームキーで入場ができる。慣れた手つきで丁度いい量の食事を摂り、スライド発表に向けてイメトレをする。昨日あまりに終わらなさ過ぎて、ちょっと寝不足になったけど、きっと何とかなる。

 

-幕間 キャッシュレス-

キャッシュレスと聞いていたが自分の想像を超えていた。露店でも、チケットの購入も、バスに乗るにも、お店で食事にもすべて電子マネーで出来るのだ。携帯にpaypayのようなアプリを入れておき、QRコードを読んだりすることで即座に会計を終える。現金で支払っているような人たちは私たちを除いて一度も見かけることがなかった。とりあえずクレジットカードを持って行った自分が恥ずかしかった。

 

-三日目 教授陣の発表-

国際会議でもするのかな?みたいな部屋に通された。黒や茶を基調とした部屋には高級感が漂っていた。完全に空気に呑まれそうなところに、先方の教授がやってきた。

「じゃあ、ここに先日受け取ったお金の受取サインをよろしくね」

とどめを刺された。これだけの価値のある発表しろってことよなぁ。そんなこんなで自大学の教授が喋り始める。全部中国語だから聞き取れない。スライドは一応英語だから読めなくはないけど。教室を見回すと、受講している生徒は40人弱。授業態度は日本とそんなに変わらない。注視したり、自分の事したり。情報系なのにパソコンを持っている人が少ない気はした。

 

-幕間 プライバシー-

中国でこの国に特有であるもの、それはおそらく至る所に監視カメラがあるということだ。中国は社会主義、この夥しい数のカメラによって動向を監視しているのだ。夜中になれば正しく撮影できるようにストロボが一定の間隔で焚かれる。そういう文化だからこそ、プライバシーに関する意識が薄いのかもしれない。動画サイトではアニメなどの二次元は日本によるものが多いが、三次元の動画は自作されているものが多い。しかもほとんどが顔出ししてある。顔を出すことに関しては日本よりも安全なのかもしれない。実は裏で問題が起きているのかもしれないが。

 

-三日目 お昼-

プライバシーに関する発表の時、生徒の食いつきが悪かったように気がする。文化の差があったりするのかな。そんな悠長なことを考えていたけれど、自分たちの発表が近づいてきた。緊張してきたが、その前にお昼ご飯。研究室の4人で食事に繰り出した。散々お店選びに迷って決めたお店が点心屋さん。何を食べるか迷っていると、広告の動画にふと目が留まる。それはパンパンに膨れており、液体が出そうなほど怒張していた。それは口にした瞬間、潮を吹く。一度飛び出してしまったら、歯止めがかからないようでドクドクとその中身をぶちまけていた。軽く1mは飛んでいるんじゃないだろうか。その艶やかな飛沫をみたとき、誘われていると思った。先生、私はこの小籠包にします。ここで食べた小籠包は人生の中で一番美味しかった。エビの旨味とか、種のジューシーさが襲い掛かってくるようだった。

 

f:id:VP_lenneth:20190923203341j:plain

三日目昼ごはん
-三日目 発表-

発表のために通された部屋は首脳会談でも行われてそうなところだった。ちなみにB4は私以外居ない。与えられた時間は20分、用意したスライドは23枚。さぁ、プレゼンの時間だ。簡単に自己紹介、競プロについて、卒論の進捗、日本文化について説明していった。意外だったのは、だれ一人競技プログラミングしている人がいなかったところだ。折角なので、競プロは研究に役に立つよと布教しておいた。自己紹介でアニメとかゲームの話で文化差について触れたからつかみは良かったかな。あとは二年間ぐらいバイトで説明している日本文化を伝えていたらあっという間に時間は過ぎた。

 

-三日目 晩御飯-

今晩はホテルのビュッフェをごちそうになった。いつも朝で食べている場所だから、料理が違うだけだろうと高を括っていたのだが、そこでの光景に目を疑った。広くなっている。どうやら、朝の時は一部だけを解放していたらしい。始まりの町に居たら、終盤でしか入れない隠しダンジョンに入った気分だ。この部屋で100m走は出来そうかというぐらいの広さにあらゆる地方のあらゆる食材が並べられていた。鮑とふかひれのスープ、松茸のお吸い物、北京ダック、刺身、牡蠣などなどなど。これで148元って安すぎる。しかも中央ではバイオリンを弾いていたり、ピアノを弾いていたり、パフォーマンスも催されていた。すごいなぁ。ここのビュッフェで特徴的なのは各テーブルに火鍋があることだ。火鍋用の食材も自分で取ってきて、テーブルで調理していただくのだ。先方の教授に”10秒! 10秒! 十分!” と、作法を教わったので、それに従い口に運ぶ。ちょっと赤いけど大丈夫だろう。半生なんかに絶対負けない!スイーツも充実していたが、こちらはちょっと舌に合わなかった。あれよあれよとお代わりしまくりで今日も大満足。

 

f:id:VP_lenneth:20190923203523j:plain

ホテル内

f:id:VP_lenneth:20190923203547j:plain

ビュッフェの盛り付け例

-幕間 結婚-

中国では女性と結婚する前に、色んなものを貢がなくてはならない。住むための家、交通のための車。中国ではそこら辺の部屋でさえ、銀座で家を買うような値段がするらしい。それだけ人口が増え、住む場所が圧迫されているということなのだろう。だからこそ、一緒に過ごしていけるだけの経済力があることを示すために貢がなければならないのだ。

 

-三日目 夜-

めちゃくちゃ腹を下した。今までで一番体調崩したんじゃないだろうか。食べすぎ、疲れ、半生、そして腹の痛みで目を覚ました時には布団も何も被ってなかった。外国で生ものを食べるのは気をつけようね!同室の先輩には悪かったけど一晩中唸りまくっていた。初めは気持ち悪さや色んなものが綯交ぜになった痛みだったが、段々周期的な腹痛のみとなっていた。くっころせ、と姫騎士ごっこをしたり、出産ってこれ以上痛いんだろうなと思いながら痛みに耐えていると、ふと一つの知識を思い出す。人間死ぬ間際になると子孫を残そうと性欲が強くなる、と。しかしながらここは中国、ポルノ系のものも規制がかなり厳しい。適当に知っているサイトを打ち込んでもたどり着くことはない。どうやら幾らかあるらしいがそんなことはどうでもいい。この痛みよ、静まり給え。アーメン。

 

 

武漢四日目

-四日目 朝-

疲れからか途中で寝落ちして多少は回復したらしいが、この日一日は消化がされても一切吸収されていなかった。先生に助けを求めると、草を生やされた。漢方の丸薬を渡された。鬼武者なら体力全快したのかなと詮無いことを思いつつ、朝ごはんを見送った。

 

-幕間 トイレ-

中国のトイレはまだまだ発展途上という感じだった。宿泊したホテル以外でウォシュレットのついたトイレはなかった。必要な人は携帯ウォシュレットを持ち込もう。また、各個室にトイレットペーパーが付いていない場合もある。この場合は入る前に設置されているので忘れずに手に取っていこう。更に、女性用と同様にトイレには流せないものを捨てるごみ箱がある。これは自分で持ち込んだもので拭いた時に捨てるごみ箱だ。だから万が一に備えて、おしりを拭く用の紙を持参することを勧める。わたしは腹痛のため何度か駆け込んだが、そのたびに紙質が合わず裂けるような思いをした。

 

-四日目 黄鶴楼-

高校生で漢文を勉強していたら知らないものはいない程有名な詩人、李白の詩に詠まれた件の建物へ訪れた。建物内では数々の詩人が名を連ねており、李白をはじめ、王維や白居易、蘇軾などの詩が展示されていた。昔読んだ詩や人物が実際にここにあったんだなと思うと、灰色だった脳細胞が色気づいていった。唐突に現地の学生が問いを出してきた。”リーバイって知ってますか”。兵長かな、とつい口に出しそうになるが該当する英単語が出てこないので断念。人名は現地読みなので、該当するのは一人しか思いつかなかった。日本で有名なことは知られていないらしい。壁画で飲んだくれている彼について説明してくれた。

 

f:id:VP_lenneth:20190923203837j:plain

故人西辞黄鶴楼
-四日目 自動販売機-

自動販売機でさえ、キャッシュレス化が進んでいた。何なら貨幣を使うことができなかった。学生に建て替えてもらい冷えた玉露の緑茶を飲み、懐かしい日本の味を堪能していた。飲み物といえば大体常温以上だし、食べ物はどれも濃いし。緑茶を口に含むたびに、目の前に日本が広がる。あぁ、こんなにも美味しいなんて。

 

-四日目 湖北省博物館1-

続いて、湖北省博物館にやってきた。ここでも入場は電子的なもので行われていた。進んでるなぁ。時代は2,3世紀のものから近代のものまで。日本が縄文時代ぐらいの時に、すでに中国は青銅器を作っていたというからには驚きだ。しかも、縄文土器並みの装飾が施されていた。そうやって作られたものは殆ど酒を容れるためのものらしい。めちゃくちゃ広くて好きな人はこれだけで一日過ごせるんじゃないかな。

 

f:id:VP_lenneth:20190923204037j:plain

フーベイショウ
-四日目 湖北省博物館2-

昔の楽器を用いて演奏会が開かれるということで見学に。撮影禁止、ということもなくみな思い思いにシャッターを切っていた。こういう場でカメラを取り出せるのはなんだか新鮮であった。肝心の演奏はどこか懐かしいような音色ばかりだ。琴のようなものや、木管楽器から奏でられる音からはどこか日本を感じさせるようだった。曲調としてはFF9とか風来のシレンが想起された。

 

f:id:VP_lenneth:20190923204121j:plain

演奏会
-幕間 教育-

中国では教育にものすごく力を入れている、と感じた。勉強ができる者への待遇が段違いだからだ。大学構内には大学へ行くものの家族が暮らせる住居を提供されたり、そもそも給料がよかったりと方々で感じる。バイト募集の貼り紙を見てみると、時給で28元。たったの450円だ。これだけ待遇がちがったら生活のために勉強を頑張るのは死活問題だな、と思った。

 

 

-四日目 火鍋専門店-

その日の晩ご飯は東京にもあると言われるほど、有名な火鍋専門店だった。そのビルの一フロア丸々がその店だった。先日の件もあり、火鍋は軽いトラウマを抱えていた。未だに腹痛も治っていないし。席に着くと、テーブルにある対応表を見つける。見ると、最低どれだけ火を通さないといけないかの一覧であった。曰く、最低でも15秒、長いものだと15分は湯に潜らさないといけないらしい。そりゃあ、お腹壊しますわ。火鍋用の調味料を自分で合成し、様々な食材(何の肉かほとんどわからない、蛙だけはわかった)を食べた。

 

f:id:VP_lenneth:20190923204158j:plain

火鍋
-四日目 遊覧船-

長江から武漢を遊覧船で見回るツアーだ。遊覧船が出発すると、長江に立ち並ぶビル群が一斉に秩序だって光始めた。1km下らないであろう区間のビル群が一つの光景を作り出すのは圧巻と言わざるを得ない。こればかりは写真に残せるようなものではないから、イルミネーションなどそういうのが好きな人は是非訪れてみてほしい。黄鶴楼もぴかぴかとライトアップされており、孟浩然が帰ってきたらさぞ驚いたことだろう。

 

f:id:VP_lenneth:20190923204224j:plain

遊覧船

 

-五日目 帰宅-

最終日は帰るだけだ。思えばあっという間だが、文章にするとかなり膨らんでしまった。これでも書き出せるものを厳選したつもりである。たった四泊五日なのに、数多くの見地を得た。実際に行ってみなければ感じられないことが多く、中国に訪れてみてよかったなと思った。いろんな意味で見る目が変わったと思う。国民性とかそういったところも大きく異なるところは見受けられなかった。”衣食を足りて礼節を知る“とはまさにこういうことなんだろうだな、と。とにかく、帰ったら日本のご飯が食べたい。

 

-番外編 戦利品-

一番高価なものは左下の扇子。498元したが、一目ぼれしてしまい購入してしまった。そのうちみんなに渡します。

f:id:VP_lenneth:20190923204434j:plain

戦利品