2022年記

日記から、今年起きた出来事を振り返ってみた。

 

1月

所感:2022年のなかで、ある意味では一番充実していた気がする。
・2021年10月から始まった副業に本腰入れ始める。
・4月の入社にむけて、アイルランドから住む場所を決めた。
ウイスキー工場など観光した。
ショーシャンクの空にを18禁にしたようなゲームをプレイ。民主主義の中でマイノリティではなく、弱い個として生きる強さというテーマを感じた。

 

2月

所感:2022年度を迎えるために、終わらせることが多かった。
・重説、表彰状、修論公聴会、引き継ぎ資料、インターン最終レポート、発表資料、奨学金書類など
・研究室の特別な配慮のおかげで、公聴会がオンラインでも参加可能となり卒業の見込みが立つ。
・会社のワークショップで12時間も英語漬けにされた。
・Corkへ2泊3日の一人旅。知らぬ間にゲイバー入店の実績を解除した。
・にゃんこ大戦争を8年ぶりぐらいに再開する。

 

3月

所感:めちゃくちゃお金が飛んでいった。

・Galwayへ2泊3日の一人旅。
アイルランドを去るので、方々に挨拶回りをした。清々しく仕事を収められた。
・戦争が始まり、帰国困難に思われたが、別の空路で帰国可能に。帰国時に飛行機からオーロラが見えた。

 

・コロナ真っ只中なので、帰国して空港から出るまでに2時間ぐらいかかった。
・直接東京へ引越したので、家電は全て買い揃える羽目に。布団も何もなかったので初日は床の硬さに袖を濡らした。
・tips:海外で銀行口座を持っているなら、下手に現金化しない方が良い。ユーロで持ってても、amazonとかその辺のATMでいいレートで両替できる。
・卒業証書をルノアールで受け取る
・ヘブンバーンズレッドにハマった。

 

4月

所感:プライベート激動の月

・人生の転機とも言える決断をした。
・他人の結婚式に参列した際、自分だけサンダルにコートだったけど、バレずにやり過ごした。
・絶対リモートワークすると意気込む。
ドラム式洗濯機は神
・海外にいたので健康診断が終わっておらず、人事に迷惑をかけまくる。

 

5月

所感:出会いと別れの月

・アックススローイングというダーツの斧バージョンをした。
・久しぶりに会う人、新しく会う人、そして、もう会わない人たち。

 

6月

所感:人生ハイスピード。社会人楽しい期

・実家->神戸->京都に移動し、家族や友人たちと会う。
・伯父と会った際に、顔色が悪いと感じたが、やはり病に冒されていた。
・京都では苔寺に行き、写経した。
江ノ島へ観光。
デザートワインにハマる。
・健康診断で中性脂肪がCで再検査となる。

 

7月

所感:余裕な時間がなくなり始める。

・熱海へジップラインをしに行く。
・会社のサークルに参加する。おいしいご飯は正義。
・副業の負担が大きくなり、副業の外注を行い負担を減らす作戦にでた。
・引越しを検討し始める。

 

8月

所感:会社の給与形態調査月

・深夜労働や超過労働の扱われ方を、実際に対象となることで制度を理解した。
・耳掃除のために耳鼻科へ行く。
・effective javaを読み始めた。
・滝修行と写仏の修行を一泊二日で行い、煩悩を振り払った。
小四喜和了った

 

9月

所感:今月会った人が今年最後になる人たちが多かった

・実家猫(20)が死去
メイドインアビス 闇を目指した連星を購入
新宿御苑でお散歩

 

10月

所感:色々手を出した結果、余裕がなくなる

・引越し
・一緒にTRPGするグループがボードゲームを作成する。

 (買ってね)

・何を血迷ったか、研究まで始める。

 

11月

所感:休みが欲しい

・人との交流が二日しかなかった。
・研究コードを完成させ、テストコードを書きまくった。
・低温調理器具を買い、圧力鍋を手に入れた。料理の幅が広がった。
・クイズバーに行ってみた。

suahl.com

アクアリウムを立ち上げ、癒し空間を作成する。

 

12月

所感:休みが欲しい

ベトナムへ出張に行く。しかしコロナで強制送還。
・年末に友人(彼女いない年=年齢)を連れ、メイドカフェに。

e-sekai.jp

かっぱ橋の貴和美で買った包丁(2万円)の切れ味がすごい。みんな買うべき。

taito.goguynet.jp

 

・副業で自分の決めた締め切りにずっと追われる。
・欲しかったオーラリングを買った。

ouraring.com

 

全体的に

アイルランド行ったり、引越しを二度行うなど激動と言える年だった。予定があればそれを優先したが、基本休みがあったら大体開発していたので、空いた時間で何か行う時間を取れなかったのが残念。もっと遊びたい。

 

副業について

大体2000時間ぐらいの開発時間となり、自分が開発を行う上でどのように立ち回っていくかがなんとなくわかってきた。年末なのに終わっていないことが多すぎるので、スケジュールの立て方をうまくしたいところ。

確定申告とか青色申告とか色々しないといけないが、目の前の納期に追われて辛い。

 

来年にむけて

・技術系の本と、マネジメント系の本を何冊か読んで、得られた知見を試してみたりしたい。

ファイナンシャルプランナー応用情報技術者の資格は取っておきたい。

・追わている感覚から早く逃れたい。

異世界帰国記

前回の次回予告に書いたことは掲載予定にありません。

 

2021年10月から2022年3月までアイルランド渡航した記録をまとめたものである。

費用について

語学学校ではなく、インターンをしていたので対して費用がかかってない。本活動に気になる方で大学生ならば、ヴルカヌス・イン・ヨーロッパでお調べしてください。

それでは経費についてまとめていく。
集計方法は渡航期間における日本円の支出と、アイルランドで開設した口座の支出である。この期間に無関係なものも色々買っているが、それらも含まれている。
€ = 130円で計算している。

結果発表。

渡航期間10月4日 ~ 3月22日
日本円: 679,056円
ユーロ: 8284.42€
合計: 1,756,030円

では早速わかっているものについて内訳が以下。
航空券: 221,940円
保険: 169,060円
PCR検査: 10000円*2回

生活費※
家賃: 4080€
基本食費: 1680€ 
通信費: 120€

※家賃, 基本食費, 通信費の計算式は以下の通り
4080€ = 170€/week * 24  家賃
1680€ = 10€ / day * 7 * 24 食費
120€ = 20€ / month * 6 通信費
基本食費は自炊などした場合の費用としている。


アイルランドに滞在するだけなら、上記を合計した約120万ほどあれば理論上は可能である。
では、約60万円分は何に消えたかというと以下の通りである。
・家賃の手数料
・モハーの断崖 一泊二日
・フランス横断 三泊四日
ベルファスト 一泊二日
・コーク 二泊三日
・ゴールウェイ 二泊三日
・ギネスストアハウス
・Jameson蒸留所
・クリスマスマーケット
・教会巡り10数カ所
・その他観光地入場10数カ所
・外食数十回
・豪華な自炊 数十回
・自転車代
・バス代 6€/day

飛行機に乗ってもヨーロッパ間は3000円とかで済むこともあるし、いろんなところに行きやすい。強いていうと外食が高い。ラーメン一杯が2500円する世界なのだ。晩ご飯は気を抜くと5000円は超える。ランチ程度なら2000円はかからないぐらいかも。マックとかなら700円で済むかもね。

食べたいもの食べて、行きたいところ行って、飲みたいもの飲んで、その結果が200万弱である。プログラムの奨学金インターンの給料があるので、金銭には全く困らなかった。


これだけはやろうね、PPSN

Personal Public Service Numberと言われるもので、所謂マイナンバーみたいなやつである。銀行開設には必須なので、アイルランド渡航する人は絶対に申し込むように。口座を手に入れるまで2ヶ月かかった。PSCはPublic Service Cardで特に必要になることはないけど、一応申請した。IBANはインターネットバンキングで、電子上のやり取りに必要な番号である。

10/13 PPSN申請
11/4 情報不足で再申請
11/10 情報不足で再申請
11/18 PSC申請, 税務署のアカウント申請
11/24 PPSN到着, 税務署仮アカウント発行→住所証明待機
12/1 PSC予約お知らせ→12/6に来てな
12/6 じゃあ1週間後ぐらいに届くから。オンライン申請
12/8 IBAN発行や
12/9 給料振り込むわ〜
12/15 カード届く

銀行の通知カードにPINコードが付いていたが気付かず捨てた。日本では暗証番号は自分で決めるものだけど、少なくともアイルランドでは通知されるものらしい。銀行員によくあるミスだよって言われた時が、滞在時で一番流暢にOh, my godが出た瞬間だと思う。カード使えないなって思ったけど、使えないのは僕でした。

英語力について

半年間海外にいたものの、リモートワークをしていたので特に英語はうまくはならなかった。しかしながら、コミュニケーションは言葉遣いよりも、相手を理解しようとする姿勢が最も重要であるという当たり障りのない事実をえた。ある程度過ごせば、人々の文化や常識にあたるものは粗方わかってくる。言葉はあくまでツールでしかなくて、最悪喋れなくても身体の動きや、目線だけで会話なんてできる。文法や語彙力よりも、文脈を読む力があれば何とかなる。

 

以下は滞在中に感じたものを雑記としてまとめたものである。備忘録みたいなものなので流し見でどうぞ。

英語を喋りたいなら海外行くべき?

昨今の状況だと僕はNoだと思う。何故かというと、今時海外に行っても英語を喋る必要がそんなにないからだ。最低限の英語なんて中高レベルで何とかなるからね。お店の予約するときの定型句とか、飲料水の罠(※)とかを知っていれば困ることが本当にない。家ではアニメを見て、友達とゲームしたりと日本語で過ごせてしまう。便利な世の中になったものである。英語を喋りたいと思うなら、英語でしか理解できない人やものを見つけることが一番である。実際、日本に帰ってから英語で知りたいものに出会ってからは本気で理解しようという気持ちになった。

数週間経つと英語上手くなったねって言われることが増えてきたけど、これは違うと思った。単にその人の会話のリズムがわかってきて、何が好きかとかがわかっただけだと思う。店とかも提示されうる選択肢を理解したからこそ、聞き取れなくても想像がつく。単に生活にこなれただけだ。新入社員が会社に慣れたところで、日本語上手くなった?とは言わないよね。

(※: レストランに入るとStill Water? or Fizzy Water?かを聞かれるが、どちらを答えても有料の水が出されることがある。食事の際には炭酸水か飲料水かを選ぶのが通常。ちなみに無料水はTap Water、水道水である。)

海外での必須スキル

語学力よりも必要なものが二つあると感じた。それは、勇気と文化である。

聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥というが、ちょっとした恥や恐怖を飛び越える勇気というのは、いつになっても必要だと感じた。主張しなければ意見がないことと見做される。主張をすれば議論の場が与えられる。議論の場があることで自分の無知を知り、更に深めることができる。どれだけ初歩的な質問であっても、どれほど無知に思えるものであっても、改めて聞くことで自他との違いが分かることだってある。その違いを知り、お互いを理解するためには、恥らいを超える勇気が必要であると思った。

自分の文化を自分の中に持つこと。具体的には、自炊力である。異なる文化圏に行くと、環境音や家電、交通ルールなどから相手の文化が自分の中に侵蝕してくるのだ。異文化に触れることは大きな負担となる行為であり、ホームシックに陥るのはこのせいであると思う。特に食事は毎日摂取するものであるし、人間の欲求でも上位に来るものである。もちろん海外の食事の方が合うこともあるだろうが、自衛のためにも好みの味を出す技能は必要である。甘味もうま味も異なる食文化の中で日本で食べた味が恋しくなった時、私が摂取したのはコーラであった。特に好きでもないし、あまり飲むことはなかったけど、アイルランドでそれを口にした時、”あぁこれだ”と自分の中で失った何かが補充された感覚になった。異なる食材や調味料を使ったとしても親しんだ空気を作れるのは食事であると思う。

海外で暮らしたい?

正直どっちでも良いかな。海外で暮らせると確認できただけでも十分。情報収集のためにやったTwitterで、アジアの男は帰国したがる、アジアの女は帰国したくない、みたいな意見。一理はあるんだろうけど、こういうのを見ると悲しくなるね。戦争はやめようよ!って言いながら核武装してる感じ。閑話休題

日本は経済的には落ち目なんだろうけど、平均より良い収入もらえるなら、先進国の中では人間も食事も安い、衛生的だし最低レベルが高いから、住みやすい場所だとは思う。ただ日本人よりもアイルランドの人たちの方が、他人として出会ったときに優しくしてもらえた経験は多いように思う。これは果たして自分が外国人であるという異端者だからなのかはわからない。自分が現地人として認められるようになった時、また嫌な部分が見つかるのだろうか。そうでないなら、世の中に別れ話がこんなにあるわけがない。

海外での仕事について

英語で仕事をする場合、コミュニケーション能力が2割ぐらいデバフされたように感じる。一種の縛りプレイみたいなものなので、能力が低いからと言って何も出来ないわけではない。世の中にはレベル1であっても出来ることはあるのだ。この2割減の能力差を埋めるためには、言語能力を上げてギャップを埋めるか、2割減でも戦えるように他の能力をあげるかだと思う。自分は言語能力に対しては諦めた。なぜかというと日本語でさえ聞き取れないことがしばしばあるのに、況や英語をやである。大事なのは、使う言語がなんであれ伝える能力である。

味と感覚

コーラはあまり好きではなかったけど、同じ味だから思い出せるものがある。きっと想いの違いによって味覚も変わるのだ。子供の頃に感じた嫌いな食べ物も、年老いて再び食べることで蘇るものもあるだろう。食事そのものに味以外の意味を見出すことだってできる。もし異世界に飛ばされて同郷の人がいたなら、いくら嫌いであっても、同じ言語文化を共有するだけで得られる親しみがあるのではないか。日本人というだけで異国では仲良くなれたように。

本格的だよクリスマス

欧米では家族と過ごす日であるというイメージが強かった。そして実際間違いではなかった。日本のようにパートナーで過ごすとかでもなく、恋人であってもどちらかの家族と共に過ごしたりするのだと思う。前日からクリスマスに向けてプレゼントを用意したり、ターキーやケーキを用意したりそれはもう祭りみたいなものである。クリスマス明けの朝には港へ突っ込んだりすることもあるらしい。そして二日目の昼には疲れて仮眠を挟むことも珍しくない。

ここまで読んでみて、何か既視感を抱いていないだろうか。

私は思ったのだ。これ、大晦日と元旦じゃん。

実際、恋人と共に相手家族宅に訪れることはあるだろうし、お年玉を前々から用意したり、お節やお餅を用意したりそれはもう祭りみたいなものである。新年明けの朝に道頓堀に突っ込む人だっている。

欧米のクリスマスを身近に感じた瞬間である。

西海岸

どことなく懐かしさを覚える。ゼルダの伝説の影響かもしれない。馬羊牛、色んな動物がいる。アイルランドは人間よりも羊の方が多いそうで。面積も人口も北海道みたいなものだ。

母親

母は強し。アイルランドではみんな黒系の服を纏ったりして、色気があまりない。衣服に興味がない自分にとってはむしろありがたいぐらいである。そのような文化の中で、彼らが髪型や衣服が気になった際にどうしているかを表す言葉がある。それは、母親がOKって言えば大丈夫、ということ。そもそもアイルランドは天気が変わりやすいし、予報が当てにならないから、衣服などを拘るよりも機能性を重視する人が多いのだと思う。

アイルランドで暮らすことについて

自分にとって大切な要素を切り捨てて小さな自分から始めるのは些かハードルが高い。大学入る前なら、友達ややりたいことが定まって居なかった時なら、もしかするとここで暮らすことを決めていたかもしれない。

人間が超克したのではなく、人間も自然の一部だとそう思わせる。しがらみがなく、裸のままでいられるような解放感。風景は宗教画のようで、普遍的なものでありながらどこか心を照らしてくれているかのような気さえする。

楽しいとはまた違う。満たされる。そんな場所だった。

単語の意味違い

カタカナ英語と、実際の英語とで意味が異なることがある。ミスだって失敗ではなく、寂しいという意味だし、アイドルは偶像という意味で歌や踊りをしない。今となっては笑い話だが、上司との会話の中で大きなすれ違いが起きた。

先の話題でクリスマスについて触れたが、上司に日本のクリスマスでは何をするのかと聞かれた時である。私は二十余年の男児なので格好をつけて、そりゃ女の子をエスコートしたりすることですよ、と言い放った。上司の顔が歪む、そりゃどういう意味なんだ、と。勿論、エスコートには動詞としては同伴するなどといった、よく知られている意味がある。しかし、名詞となると全く意味が異なるのだ。[名] 有料で性的なサービスをする人、となる。詳しくは聞き取れなかったけど、コールガールとかそういった言い方もあるらしい。
よくよく考えたら日本語でも英語でもアングラな言葉は色んな言い回しがある。チョコもアンパンもクリームパイも使い方によっては危ない。なるべく誤解を生まないように、英語で聞いたことのない言い回しは避けるようにした方がいいかもしれない。

教会がめちゃくちゃ落ち着く

宗教設備が大好きなので、アイルランドに来て教会を見つけたらとりあえず入っている。なぜ落ち着くのかを考えるのと同時に、日本の寺社と何が違うのかを考えてみた。教会は豪奢で巨大だ。対して寺社仏閣は暗く小ぢんまりとしていることが多い。宗教の根幹や目指すものがどちらも大きく変わらないと思う。教会からは神や敬うべきものを大きく見せて、矮小な自分との対比を感じさせるようなものとなっている。対して寺社仏閣は質素で簡素なものに、仏様が対面して自身との対話をする。恐らくだが、日本は地震が多いために大きい設備が作られずに小さめのものを作るようになったのではないだろうか。
教会に参拝しにきた人の行動を眺める。賽銭を入れ、神にお辞儀をし、蝋燭に火をつけて、祈る。そして十字を切って帰りしなにまたお辞儀をする。装丁は違えど本質は何も変わらないんじゃないかと感じた。

帰国でバタバタ

PCR検査を3/20に行った。実施後に厚生労働省が発表しているフォーマットにそぐわない事を知る。21日に再検査しにダブリン空港付近へ行く。結果的にMySOSでは20日付の検査で十分だった。帰国後も2時間ほど入国審査みたいなものが必要だった。
自分は日本人だから全然大丈夫だけど、海外の人からすると二度と日本に来たくないと思うだろうと思った。ただでさえ英語を喋れないスタッフや、紙でやりとりされる作業。100人ぐらいは動員され、夜遅くまで仕事が行われていた。本当にお疲れ様です。。。

全体を振り返って

自己省察をするのに良い時間だったと思う。何が好きで、何が嫌いか。どうして自分は苛立たしく思うのか、心惹かれてしまうのか。脳内会議をする際にはなるべく対立軸を用意して議論させる。最後に得られる結論は概ね、どっちでも良かったりするか、全く賛成反対に縛られない結論で終わることが多い。自分の中で繰り返し反芻し、議論の弾をストックする。そしていつか誰かと話をするときに撃つ。自分で答えを出せなかった部分や異なる見解を求めて。
アイルランドはちょっと郊外に行くと途端に人がいなくなる。一面の青と緑。国旗が表す様そのものである。現代は便利なもので、道具を使えば簡単に人とつながることができる。ふとしたときに誰かの発言や意見を見聞きしようと思っていないだろうか。誰かが作ったシナリオや創作物を消費しようと思っていないだろうか。
岬で海の息吹を感じたり、草原で鳥の歌声を観賞したり、丘から街並みを見下ろしてみたり、沈んでいく夕日を見送ったり。得た経験を誰かに共有しようと思う前に、他ならない自分はどんな情緒になっているのだろうか。
別にこれらは海外に行かなくてもできることではあるけれど、様々な刺激に囲まれているからこそ、自分自身が経験事に何を感じているかに向き合うことは大切なのではないだろうか。

 

異世界滞在記

前日譚
元々は4月に渡航して、8月から企業研修を行う予定だった。ちなみに今は10月でまだ日本にいる。他のインターン生も9月初旬には出発しているのに、アイルランド渡航の僕は労働許可が出ずに家でずっとお留守番。丁度その時期に内定式があったけど、その文言が、"Why are you here?" 自分が一番聞きたいが。渡航が遅れるたびに一握りの友人とご飯を食べたりしたが、何回送別会すんねんと言われる始末。自分でもそう思う。

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何でここにいるんですか?


当日
書類作業がこの上なく苦手だ。様々な手続きで差し戻しや忘れが発生する。こんな有様で、イギリスやアイルランド渡航前に必要と言われていた手続きを当日思い出す。申請しようとするも電話番号は既に休止しており、SMS認証が使えずドタバタした朝を過ごした。


空港で書類不十分による渡航不可の可能性があるため、気張りながら受付を済ませた。英と愛は日本の証明書で行けるという情報を目にはしていたが、果たして。
書類と睨めっこする受付の方。電話で呼んだ助っ人がさらに助けを呼び。総勢4名で厳しい顔になりながら囲んでいた時は駄目かと思った。何とかはなったが、返ってきた言葉には息を呑んだ。
「日本のワクチン証明書が有効になったのは今日からなんですよ」
普通に危なかった。

…父母祖母に見送られ地元を飛び立つ。見送りの声には、今までの積み重ねから滲み出る味があった。

 

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羽田空港に着いて目立つのが、暗さだった。もの寂しさを感じるが、これぐらいが丁度いい。自分だけの空間のようだった。独り占め出来ているという、少しの優越感。外貨を交換し、お金持ちごっこをしながら搭乗口へと向かった。

勿論、機内にも人はいない。1人で10席は使えそうだ。3つ並んだ座席を占有して寝る人も居た。自由に動けないのが苦痛なので嬉しかった。東京とイギリスの間は、エヴァンゲリオン序破Qシンを見ても時間が余った。

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中継のヒースロー空港に降りても依然として人が居なかった。のほほんとしていたら入国審査官に渡航前手続きのパスポート番号が異なっていると指摘が入る。何でミスるんですかねって詰められた。焦って何かをやると、失敗するので気をつけましょう。そのままダブリンに向けて出発。ちょっと寒い。


目的のダブリン空港に到着。愛で一番大きいそうだが、こぢんまりとしてる。すっかり暗く午後8時。普通に舐めてた、寒すぎる。たったかバス乗り場へと向かうがわからない。人に尋ねるが、全く聞き取れない。ジェスチャーから推測するに、5分ほど歩いた先に乗り場があるらしい。
這う這うの体でバスに乗車。運賃2€を請求されたので10€出したら、もう良いわって言われちゃった。電子マネーを持ってないと人権がないらしい。ホテルに着くや否や意識は夢へと旅立った。


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午前8時。コンビニに、控えめな荷物背負っていく。



辺りを散歩して過ごす。コンビニで必須カードであるリープカードと朝ごはんを買った。日本と勝手が違っていて、手間取った。チェックアウトまでの時間は、食料品店で品物の文化差を楽しんだ。鶏肉が丸々置いてあるのは驚いたし、肉類が塊で置いてある。一方ですぐに食べられるような既製品の類はあまり見られなかった。

さて、空港から次の4日を過ごすホテルに移動する…前に、お昼ご飯。徐々に慣れる為、黄色のMが目立つ店に入る。やはり店員の言葉が全く聞き取れない。コロナ関係らしく証明書を渡し入店。注文は全て電子操作だった。というかカウンターで口頭注文みたいなのが無いみたい。基本的な受け答えが出来ず悲しい気持ちになるも、なんとか注文を終えて、いただきます。いつもの味だった。水300mlが200円した。マジで?


バス。待つ間空を見る。綺麗。時刻表がない。
一面の緑。雲が近く、空が広い。
電車。年季の入った騒音。鳩が完全に人を舐めている。
車社会。日本と同様の座席、車道。コンビニとガソリンスタンドが併設。
現実感、無し。旅行というには現実的で、散歩というには遠すぎる。
金髪碧眼。やはりここは外国らしい。

 

渡愛してから幾日。
ステイ先候補と面談。ここ以外に探していないので、断る理由もなくそのまま契約。犬と戯れていた。可愛い。

 

インターン先と面談。
全てにおいてアウェーな気持ちで挑む。しかしながら話していく最中で、緊張はサンドイッチと共に消えていった。グッと飲んだ紅茶で舌をやけどした。生活をする上で国とか場所とかは瑣末な問題に過ぎなくて、共に過ごす人間が心地よいかどうかが重要だと感じた。
上司の英語が聞き取りやすいのもあるかもしれない。色々聞かれた。趣味がどうとか、彼女は居るのかとか、ここに友達いるのとか、家族構成とか。日本だとしっとりしてるのに対して、海外だとからっとしているように感じるのは何でだろう。他人に対する意識の違いから来るのだろうか。

優しくもインターン先からは1週間の猶予をいただいていたので残り数日を観光して過ごす。ダブリンで生活する上でバスを利用しない人はいない。バスに時刻表がないのが殆どなので携帯は必須。USBケーブルを挿せばどの席でも充電ができる。前述したリープカードは割引がある上に、どれだけ乗っても1日7€以上払うことはない。お得!

 

物乞編
唐突に2€ちょうだいって言われた。スタバ付近で道に迷っていたから、親切な人かと思って耳を傾けてしまった。どうやらバスに乗れないからお金を寄越せと言っているようだ。言葉がわからないことにして退く素振りをするが詰めてきた。まるで鳩のようだ。アジア人でチョロいと思われているのかもしれない。雰囲気に呑まれているのを感じながらも周囲を見ると、対処する方法があった。何せここはスタバなのだから。
近くで飲んでいた人に助けを求める。呑まれたなら他人の力を借りれば良い。助けてくれた人に許可を貰いつつその場から脱出。物乞いも付いてきていたので撒きつつ、再度戻ってからお礼を言って帰った。


観光地編
Irelandは海が綺麗だ。鼻につく塩の香りも強くなく、穏やかな気持ちにしてくれる。海のべたつく空気は嫌いだが、人間同様さらっとしているらしい。

Killiney Hill Park、海が綺麗だ。オベリスクがある。清々しい風が吹き抜ける。

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広い空。豊かな芝。



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緑、白、青。国旗そのもの。



Howth、海が綺麗だ。うみねこが鳴いている。海を感じる。時代を感じる建物もある。

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アイルランドの目と呼ばれている島

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Church of the Assumption




Dun Laoghaire Harbour、海が綺麗だ。夕日がとても綺麗。風が強くて寒かった。公共交通機関ではマスクが必須なので飛ばされないように(一敗)。

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滑らかな海の色



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コートが捲れるほど風が強い

 

治安編
ダブリンには訪れるべき場所が沢山ある。中でも有名なのがtemple barだ。この通りには多くのbarがあり、この状況下でも人が溢れかえっている。ヨーロッパの中で比較的安全といえど、軽犯罪が多発する場なので警戒は怠らない。そんな中、やたらと距離が近い若者を見つけた。老夫婦の背後にピッタリと付いている。どのように犯行を行うか気になったので、彼らを尾けていった。不審な動きが続いていく中で、ようやく分かった。彼は老夫婦の子供らしかった。見た目で判断するのは良くないね。
ダブリンより南東にあるブラックロックに居を構えた。体感する限り治安はとても良い。警戒していた物盗りとかも、車が通るばかりでそもそも人がいない。自転車もあまり見かけない。勿論、周囲に対して注意を払いながら過ごす。なお中心街に近づくにつれて治安は悪くなる。ホームレスが居たり落書きが多かったりドラッグをしていたり。

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ダブリン中心街

料理編
米とお箸と麺つゆがあると和食には困らない。みりんが300ml800円する場合もある。long grain riceを購入し後悔したのち、ようやく手にいれた日本米。海外では日本米のことをsushi riceというらしい。今まで炊飯器以外でご飯を炊いたことがなく、レシピを見ながら試行錯誤する日々。ある日教授が教えてくれる。
「電熱線のキッチンなら、最初から火力最大にして泡が出てきたら火を消す。これだけで良い」
幸いにもキッチンは電熱線式だった。一回で美味しいご飯が炊けた。2週間ぶりのお米だった。今まで米がどのように炊けるのかを気にしたことがなかったから、透明の蓋を通してご飯が炊ける様子を見るのは楽しかった。
これらを応用することで臨時に電子レンジでも炊けるようになったので、炊飯器はもう要らないかもしれない。
些細な会話から発見のきっかけを貰うことができてありがたい。

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sushi rice。2000円/10kg 安い

 

仕事開始
1週間が経ち、概ねの生活に慣れてきたところで仕事が始まる。内容は機械学習を用いて詐欺を検知するもの。犬と戯れて、パソコンのセットアップをしたら1日目が終わった。早二週間ほど経つが、仕事はとてもしやすい。幸いにも機械学習のプロがいるわけではないので、Qiitaのような”いかがでしたか?”レポートでも現状は何とかなっている。研究も並行しているから担当教員にも仕事の相談ができる。休学しなかったからこそ、こうして知識の架け橋が出来ているのは面白い。


国民性編
どちらかというとアイルランドの方が好きかもしれない。国民性を大きく感じたのは自転車で転けたときの話である。中古で買ってから2日目の朝だった。坂の起伏が多く息を切らしながら、男女共に悠々と追い抜かれながらも何とか漕いでいた。ようやく下り坂に差し掛かり息を整えていた時に、段差に気づかず盛大にスリップした。いつものように一人で痛みに呻きながら態勢を整えようとしていた。が、大丈夫かよ兄弟、とか、気をつけなよ、とか次々に声をかけてくれた。終いには車窓から顔を出して、盛大に転けたネェ大丈夫?と言う人まで。4,5人に声をかけられ自転車のチェーンを戻すのを手伝ってくれるなどありがたかった。自分も声かけを躊躇わずにしようと強く感じた。そのまま職場に向かうと上司が救急箱を取って色々用意してくれた。

 

終わりに
こちらに来てから数週間。正直なところ、海外を経験してから私は変わりました!のようなことは特になかった。自分は自分のままだった。
ただ、根本的な部分で人間は変わらないのかなと感じた。少しの国で語るのは烏滸がましいけれど。単純に環境や信条が違うだけなんだろうなと。物事を一元的に評価することに意味はなくて、一長一短でそれが好みかどうかだと思う。文化の摂取と表現すれば良いだろうか。もう少し時間が経てばより分かるかもしれないが、数週間過ごして感じたのはこれぐらい。一ヶ月弱の備忘録。

 

次回予告
文化の摂取。上役の娘編。まだ見ぬ観光地。牛乳ランキング。銀行口座開設編。

夏期インターンシップ

初めに

こんにちは。

この度、アカツキでのフルリモート型の長期インターンシップに参加したので記事を認める。いつかインターンに参加される方の参考になれば幸いである。

私がアカツキインターン生として解決した課題はn+1問題という、高速化において基礎中の基礎と呼ばれる部分である。基礎だからこそ大規模開発の複雑な仕様を理解することが必要不可欠だ。エンジニアとして非常に有意義な時間を過ごせたのではあるが、あまりにも広く膨大な量であるために、このような場では共有し切れない。そのため、私は日記形式で今回のアカツキにおける夏期インターンシップ内容を紹介する。

  1. 成果
  2. 日記帳
  3. リモートの感想とかとか
  4. 最後に

具体的な改善箇所はソシャゲをする上で、誰しもが行っている報酬受取の改善である。 現状10回分受け取ると、アイテムの種類によって複数回分のSQLが発行されるためn+1問題が発生してしまっている。 それを解決するのが私の課題である。

成果

公開できる範囲では、プレゼン用に作成したこの画像で完結する。

結果発表
テストコードはいくらでも増やせるので、実質30行が本質。 ただ、n+1問題を解決するためだけに3週間のうち2週間を費やしたのには紆余曲折ある。要約すると、受け取る報酬の性質がそれぞれ異なり、かつ、厄介であったのだ。データ構造など深いところから考察して最適解を導き出すのに非常に苦労した。

さて、備忘録としての日記を基にインターン中の生活感を感じていただけたらと思う。 もし、技術的な面で記事を読みたい人はこれを見て欲しい。

日記帳

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目次

  1. 初週
  2. 二週目
  3. 三週目
  4. 番外編

初日

みんな大好き環境構築の時間。解決すべき課題もいただく。

報酬を受け取る機能の一つにガチャ機能というものがある。世間的には推しのキャラを引き当てるべく、様々な意見が跋扈しているが、コードを見る限りは完全に迷信の粋をでないと感じた。こういったユーザーからは見ることができない部分を見られるのはとても楽しい。

二日目

実際のゲーム運用の現場に入って仕事ができるので、ゲーム開発の舞台裏ではこんな風に作っているのかとワクワク感がある。わりとミーティングが多いのも印象的であった。

三日目

インフラチームとお昼食べながらミーティング。趣味の系統が似通っていて、居心地が良い。 個人的に雰囲気はとてもよかった。人事がこの辺りを見極めているのか、はたまたゲーム会社は似た気質の人が多いのか。 問題のN+1部分はbulk insertと呼ばれる一括更新によって解決すると思っていたが、課題は単純ではなかった。深淵を覗く旅路が始まった。

四日目

手元でシミュレーターを動かすことができたので、修正したコードが正しく動いているかを確認するのに大きく役に立った。通貨のパラメータを引き上げまくってガチャガチャしまくっている。直接通貨の数をいじることができるので、チーターの気分を味わった。ローカル環境なのでプレーヤーは私だけなんですが。 チーターといえば、ある会議を覗いた時にチート対策やリーク対策について話されていて、ゲーム会社の仕事を改めて感じた。

五日目

細かい文法の知識のなさが露呈する。浅い知識があるゆえに気づけない部分に気づくことができた、とも言える。それらを気付く機会を貰えたのは非常にありがたいし、それらは今後の開発においても大いに役に立つ知識であった。これは個人開発するだけでは決して身につくことのない感覚である。お手軽に結果を出すよりも、有意義だと感じた。

六日目

なにもしてないのにいんたーねっとがこわれました。

原因は、アプリ側のアップデートが行われたことによるローカルデータとの齟齬が発生したためである。メンターと環境ちゃんと三人でじっくり対話していたら一日が終わった。環境ちゃんとは仲直りできました。

七日目

既に修正自体の骨子は終わっているのだが、テストコードによって阻まれてしまい、中々改善し切れない。修正すべき箇所に関わるデータが多種多様な故に、共通のモジュールで処理するためにはそれらを全て理解しておかなければならないのだ。チームの方とモジュールの背景を聞きながら、修正を重ねていく。 雑談が始まって、そもそも何故アカツキがこのゲームを開発するに至ったか、という歴史まで聞いた。実際に会社に入ってみないとわからない部分を聞くととてもワクワクする。社外秘なので。

八日目

大規模開発であるが故に、テストコードに通過しただけでは十分とはいえない。どれだけ綺麗かつ、端的かつ、簡潔にできるか。人の入れ替わりがある現場において、可読性は何より重視される部分である。55行程度あったものが45行程度まで縮めることができた。なお、最終日までには30行まで縮められた模様。

九日目

修正箇所はある程度落ち着いたものの、共通モジュールに関数を追加したので、追加した関数に対してテストコードを作成した。テストコードの書き方についても既存のファイルを参考にした。

十日目

私より先に従事していた他のインターン生の発表を聞いた。長期にわたる成果を20分で聞く形なので、大体こんな感じなのだろうぐらいしかわからなかった。聞いたのは二人だけだけど、インターンとはいえ、大きな成果を残していた。

十一日目

デモ発表めちゃ面白い。デバッグメニューはTASとかで無理やり呼び出しているものしかみたことがなかったけど、正規の方法で利用されているのをみて一種の感動を覚えた。

コードレビューされていたので、色々と修正する。gitの操作で色々ミスをして修正を手伝ってもらった。ついでに色々な便利コマンドを教えてもらった。

十二日目

レビューされて修正してを繰り返して、1週間。テストコードなども終わっていないので、急ぎ足になる。自分が修正したコードでn+1問題が解決されたかを確認するため、負荷試験を行う。負荷試験は先に挙げたとおり、190msから120msと70msも高速化することに成功していた。

十三日目

資料作成開始。コードレビューも増えていたので、並行して進めていた。内容がかなり濃かったため、スライドにまとめる大変さを知る。整理することが苦手で、こうなることを見越して日記をつけていたがそれでもまとめることが難しい。

十四日目

資料作成終わらない、、。みやすくするために一枚20秒程度のスライドもあるけれど気がついたら40枚近くスライドを作っていた。ギリギリまで成果発表スライドをみてくれたので本当に感謝。一瞬で3週間が終わった。。。。

番外編

二週目の金曜日にスマブラ大会が勃発した。きっかけはなんだったか覚えてないけど、いろんなところで自己紹介をする機会があったので、ひたすらスマブラを擦り続けたので機会を頂けたんだと思う。(Zoom会議のバーチャル背景を"スマブラの挑戦者が現れました"にしていた) 21時ぐらいから、やっていたけど結構盛り上がって25時までやっていた。途中でガチ勢の人も出てきて、部署外の人とも交流することができた。

リモートの感想とかとか

先ほど一日あたりの所感を述べたが、今度は三週間を通してどう感じたかをまとめる。特に、今年が異例ともいえるリモートインターンという形式をとっているので、それらについて述べる。

リモートの利点

会議に参加しやすい

インターン生として折角その企業にお邪魔できるのであれば、会議に参加することを積極的に薦める。経営方針であったり、売上の推移などをリアルに知ることができる。聞きながら自分の作業もできるし、入退室もしやすい。これが現地であるならば、かなり遠慮される行為である。

質問しやすい

ふと思った疑問をすぐにslackに挙げられる。自己解決したら履歴として残せる。なにが悩んでいたかが自然とログに残る。

名前を覚えやすい

Zoomに表示されるので、初日から名前を間違えるということもなし。

通勤がない

帰宅後即布団が可能。昼休憩に布団で寝られる。

リモートの欠点

序盤打ち解けるのが難しい

単純接触効果を期待できないので慣れるのに少し時間がかかる。従来より気持ち多めに人と接する機会を増やしたほうがインターンの雰囲気を味わえると思う。人事の方に頼めばわりと簡単に別部署の人とも話を聞くことができる。

会社の雰囲気わからん

現場の人間の雰囲気が分かっても、現地の雰囲気はやはりわからない。フロントで写真撮りたいし、社員限定で利用できるサービスを利用したい。もちろん、実際の業務スタイルも経験したかった。

インターンの感想

いろんな方と話ができた

Zoomランチを何度か設けてくれたので、他部署の人とも話ができた。スマブラの話題をいくらか押していたら、スマブラをやる機会をもらえた。

多様な意見をいただいた

ほぼ毎日、自分のコーディング風景を見てもらっていた。いわゆるモブプログラミングというやつである。多い時は2,3人に見られながら作業できたので、質問などを通して多くの知見をもらえる時間だった。おかげで、一人同じところで悩み続けるということが殆どなかった。

やりたいことができた

わかりやすい成果を上げることができた。エンジニアから直々にフィードバックを受けることができた。

現場の雰囲気を味わえた

連絡が多すぎて自分のものしか追うことができなかった、、。 楽しかったの一言に尽きる。

最後に

リモートインターンシップの空気感が伝わっていたら幸いです。 ここまで読んでいただきありがとうございました!

一般オタクがメイドカフェに行ってきた話

人生初のメイドカフェへ挑戦した。もともと友人に勧められた場所は、グランヴァニアだったが、なぜか閉まっていた。

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グランヴァニア

辺りを見回してもあからさまなメイドカフェしかないので、自分のプライドとを天秤にかけて1時間ぐらい逡巡していた。最終的に選んだ店は、絶対領域A.D.2045。近未来を意識したメイドカフェだ。https://jp.akihabara-japan.com/experience/maid/3107/

よくあるキャバクラみたいな看板をしていたので一度はスルーしたけど、土産話を持って帰るため覚悟を決めて店へと入っていく。

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アキバ絶対領域



ご主人様お一人ご来店です、とキャストに手招きされ奥の席へと導かれる。入るのに面接より緊張した。

お店の感想を一言で表すなら、ここは雀荘ですか?になる。当然ながら女性客はおらず、中年のおじさま、金髪のにいちゃん、常連っぽいオーラを持つ人、ゴーストライターが居そうな顔の人、会社に疲れて癒しを求めてそうな人。喫煙スペースも存在した。

店内に通され案内される。不思議な空間の説明がなされる。あ、はい、ご主人様です。僕の心中は穏やかではない。そんな僕の表情を察してかキャストが訪ねてくる。初夜を迎える女の子のように僕は返す。そんなに初々しかったか。文化祭の打ち上げをみんなで楽しんでねと言い残し、1人で帰るクラス委員は伊達じゃないな。

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メニュー1

そんな僕が取り残されたままキャストからマニュアル通りの言葉が流れてくる。このお店は猫が人間に恩返ししたいことから開かれた、という設定だ。

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メニュー2

メニューに書かれているのは猫語らしく、儀式をしないと読めないらしい。良いと言うまで目を瞑るように指示される。この空間で目を瞑るのに若干の不安を感じながら従う。逆の立場で女の子なら目隠しされるのとか怖すぎて逃げるなぁと思案していた。見知らぬ男に囲まれて目隠しされるとか恐怖そのものでしょ。

気がつくと、猫耳のカチューシャを付けられていた。てきぱきとキャストが説明をしていく。キャストと他のお客さんの写真はNG。触るとびっくりして猫に戻るらしいのでお触り厳禁。料理自体はOK。注文する時の呼び声はにゃんにゃんらしい。猫はすいませんが聞き取れないからね、仕方ないね。このお水はにゃんにゃん水ですか、そうですか。飲むたびに猫ちゃんになっちゃうんだにゃあ。キャストが離れ、気持ちを整理する時間ができた。緊張すると喉が乾く。ちなみにトイレはオス玉というらしい、耳を疑ったが2度目を聞くことは叶わなかった。ん、あれ、僕以外カチューシャしてなくないか。

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人々はどうしてこういうのに行きたがるんだろう。身近な人間と、心が繋がるやりとりの方がもっと充足感が得られるのに。自分はキャバクラとか風俗とかが合わない人間だと確信する。物理的に得られる報酬は決して心まで届くことはしないのだ。そう、心が反応しない。紛い物に過ぎない。あ、ごめんなさい。にゃんにゃんはまだです。ちゃんと考えます。はぁ。……にゃあ。折角だからチェキがあるセットにしたいので、無難にオムライスを選択しセットの飲み物も選ぶ。

あ、先に飲み物のダージリンですか。美味しくなるように一緒にお呪い?せーの、もえもえきゅーん。ドキドキはしなかった。ただ自分がここに居ることへの違和感。彼女らから得られる接待が僕の中の違和感指数を跳ねあげていく。早く帰りたい。心が土器の如く風化していく。人々は一体ここで何を得ているんだ。

僕は人と話す時、特に女性とは、瞳孔を見ながら喋る癖がある。昔何かで読んだ、瞳孔の開き具合がその人への好意を表すバロメータだと見てからだろうか。きっかけはなんでも良い。キャストと話す時は瞳の奥を見透かすように見てみた。何も見通すことができないくらい真っ黒だった。カラコン入ってるんだろうね、当然だけど。瞳の模様とか個人的な性癖なんだけど、これは残念。ついでに目元は笑ってないなぁと場違いな感想を得る。

オムライスとその他が皿に乗ってやってきた。選択した後にケチャップで何かを描く段階があることに気付く。これは先程から推されている猫を指定することで、自分にもキャストにもダメージが無いようにした。突然名前を聞かれたので本名を答えてしまった。咄嗟に嘘をつけない自分が恨めしい。脳内会議が乱立する中、キャストが一緒にお呪いをかけましょ〜♡と誘ってくる。こういう場所って有無を言わせない圧があるよね、ただだだ従う。指でハートを描いた後、猫のような手をしてもえもえがおー。それライオンちゃう?

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もえもえきゅーん

味の感想は…まぁ、食事に700円その他はサービス料って感じ。そもそも晩御飯代わりでくる客滅多にいないだろ。唐揚げはとても美味しい冷凍食品って味だった。特筆するようなものは無い。そういえばキャストは3人居て、切り盛りしているようだ。腰元のカバンの特徴からナシ、イチゴ、シナモンと名付ける。

キャストの服装だけど、衣装は意匠が凝っていて個人的には好きな服であった。プリムの代わりに猫耳、二の腕あたりでキュッと膨らむトップス、鳩尾辺りまで引き上げられ膝上30cmはあるスカート、そしてニーソックス。店名にもあるように、これが絶対領域かと感じられた。顔そのものについては僕はコメントができない。どんなに可愛い芸能人よりも身近で癒しのある子を可愛いと思ってしまう。だから、多分普通ぐらいとしか答えられない。あ、でも脚元は皆さんすらっとしててとても良いと思いました。

メイドカフェを名乗るだけあって事あるごとに、ごろごろタイム入りまーす!とか、ライブ入りましたー!とか、◯◯さんありがとーう♡もえもえきゅーん♡みたいなのが聞こえてくる。実質キャバクラな気がしてきたな。もちろん、それだけでなくて普通の会話も行われるし、自分も例外ではない。ナシがやってきた。

「どちらから、来られたんですか?」
「あ、京都です。ちょっと面接があったので東京までやってきました。」
「へー!すごいね、就活?夜行バスできたの?」
「そんなとこです。夜行バスで来て夜行バスで帰ります」
「大変だね!私も夜行バスで大阪まで行ったりするんだけど、首元とか痛くて寝られないもん〜」
おい、猫の設定どこいった。
「そうなんですね、しんどいですよね」
「そうなの〜」
「お店も結構大変じゃないですか、お店は長いんです?」
「いや〜私は7ヶ月で、イチゴと一緒の日に始めて、シナモンは半年ぐらいかな」
「案外短いんですね」
と世間話をしながらチェキの対象を選ぶ。ごめんね、君じゃなくて。気にしてないだろうけど。こういうのはっきり人気別れるのかなぁ。それと、僕はいつまでこのカチューシャつければ良いんですか、イチゴさん。

指名した人(シナモン)とチェキを撮って、ブログ掲載の許可も取り支払いへと駒を進める。シナモンがレシートを持ってくる。¥3350也。まぁ妥当な値段だよなぁ。1時間600円の席料金でワンドリンク制なわけだし。僕は接客へのサービス料より、料理技術へのサービス料にお金をかけたい気持ちで一杯になった。

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チェキ

テレビの中にいるカスタムキャストっぽいキャラを眺めながら甘ったるいダージリンティーを飲み干した。接客態度からは彼女らの心情を読み取ることは出来なかったが、違う世界に生きる同じ人間なんだなと思った。一番好ましく思った瞬間は、あるキャストが無線で裏方と連絡を取るときで笑顔の仮面が外れた素の表情をした時。お金で買える笑顔より、集中した真剣な表情がいいよね。

僕がこういう場に不慣れなだけであって、好きな人は好きな場所だろうし、そこに生きる彼女らやお客を否定することはできない。どのお客さんもそれが当たり前のように、楽しく過ごしているからだ。メイドカフェに行くような人に言わせれば、事あるごとに構ってくれるキャストたちは良い子達に違いない。完全に理解を出来たわけではないが許容はできる。きっとそういうものだろう。

初めてのメイドカフェで3350円と、少しの気力を失った代わりに、こうした土産話を得た。階段を降りてすぐそこから鼻をくすぐるラーメン屋特有の香りが僕を現実へと引き戻すのだった。

武漢滞在記

初めて中国を訪れ、文化の差や価値観など自分の感じたことをまとめてみた。個人の感想なので実体とは異なる可能性があるので、自己責任の下閲覧してほしい。なお、都合上時系列が前後する場合がある。

 

 

武漢一月前

きっかけは単純だった。院試も終わり、研究室で作業をしていた時、担当教員が話しかけてきたのだ。「武漢大学に行ってみない?」と。しかしながら、即座に返事はできなかった。

私は二つのことを考えていた。費用に関すること。安全や健康に関すること。中国について知ってることがPM2.5とかスキミングが危ないとかその程度しかなかったのだ。逡巡している私の気持ちを知ってか知らずか、教授は口を開く。

「あ、費用は全部向こう持ちだよ」

「行くに決まってるじゃないですか、中国好きですよ」

こうして武漢大学に行くことが決まった。

 

武漢五日前

あれから音沙汰もない。もしかして中止になったのだろうか、と不安になりながら研究室のディスプレイとにらめっこに興じているとslackに通知が入る。そこには簡単なスケジュールとスライド発表について書かれてあった。スライド発表、日本語でもまだしてないのになぁ。とはいえ私はまだ卒論を発表できる段階ではないのでB4として書ける範囲のものを書けばいいらしい。同伴する教授二人とM2の先輩は当然内容がしっかりあるものなので、恥のないように準備しなければ。

 

武漢前日夜

スライドもパッキングも終わってない。両替しようとしたら郵便局は定休日。ははは。スキミング怖いけど、とりあえずクレジットカードと衣類だけ詰め込んで明日に備えた。

 

 

武漢初日

-初日 朝-

武漢についた。外気温は京都と似ているが、晴れ間が殆どないので少しどんよりとしていた。現地の教授と顔を合わせ、宿泊する場所に行くため車に搭乗した。

 

-幕間 建築-

目に入るビル、ビル、ビル。ひたすら高層ビルが多い。一軒家などあるはずもない。どこまでも曇り、蒸籠みたいなショッピングモール、打ち捨てられたようなビル。なんだか退廃した世界を模したゲームの中にいるようで、少し興奮した。建物自体は機能最小限といった感じでベランダなど特になく、室外機も棒二本で支えられているだけだ。市街地に入ると、一階のフロアは押しなべて何らかのお店を営んでおり二階以上は居住地といった様相である。日本発の店舗は多くなく、自国のもので補っている印象だ。

 

-初日 ホテル-

見慣れないものに一々感動していたらホテルに着く。名前はものすごく強そう。数時間もの移動時間で疲れていた私は、早く部屋につきたいなと思いながらチェックインをする。と、先方から私たちそれぞれに封筒を手渡してくる。中国元だ。現地で困らないようにと、発表の給金も込めて、なのだろう。大志を確認しながら部屋に着くと、そこは日本と大差ないように思えた。Wi-fiはしっかり飛んでいて、トイレはTOTO製でウォシュレットが付いている。文句なし。先輩と共に荷物整理をし、晩御飯に向けて玄関へ。

 

-幕間 特産品-

武漢では広大な湖を保有しており、その特性を生かした蓮根が特産品である。そのため蓮根を用いた料理、排骨藕汤が有名だ。これは牛骨と蓮根を一緒に煮たものである。我々の知っている蓮根とは違い少々ピンクがかっており、食感もほろほろとしていて優しい味がする。武漢にきたら必ず目にする一品だ。

 

-初日 晩御飯-

日中の教授陣が中国語で会話しながら、私たちはご飯処へ着いた。いわゆるファミレス、といった感じのお店だ。先方が慣れた感じで注文する。料理が記載された紙製のメニュー。鉛筆でさらさらとチェック、及び個数を記入していく。そして店員にそれを差し出す。なるほど、こういう注文様式もあるのだな。目の前に並んでいく。お腹の虫が訴える。食べる、食べる、食べる。いや辛い。めちゃくちゃ辛い。水は常温しかないため他の食べ物でごまかすしかない。丸々と入った大蒜はその本来の旨味と風味をガツンと殴りかけてきてめちゃくちゃ美味い。どの料理も強烈な旨味が口の中を支配してくる、徐々に蓄積する辛さが早く食べ物を口にするよう責めたてる。蓮根スープと蓮根ジュースが荒くれ物たちをいやしてくれる。そしてキリっと冷えた地ビールを流し込む。大満足。一人当たり1000円ぐらいでこれだけのボリュームが食べられることに驚いた。

 

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初日晩御飯

 

-幕間 交通-

交通手段は主に車であるようで、日本よりも信号は少ないように感じる。車のマナーは岡山並で、車線変更にウィンカーがまず出ない。そこらじゅうでクラクションが鳴っている。並の日本人なら発狂しそうなカオス具合であったが、事故が起きそうな気配は全くない。運転スキルはめちゃくちゃ高かった。原付、のようなものに乗っている人が多くいた。マフラーがついておらず、駆動音も全くしないため恐らく電動ではないだろうか。自動車も原付もどこか泥っぽく、洗車とかはしないのだろうかと思った。

 

-初日 帰り道-

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ネオン街

辺りはすっかり暗くなり、中国の町並みはぎらぎらとしたネオンに包まれる。整然としたショッピングモールや屹立としたビル群にとても映えており、あまりイルミネーションに惹かれない私でも心が躍ってしまった。初日はいろんなことがあった。部屋に戻って疲れをいやすことにしよう。

 
-幕間 ネット環境-

中国は社会主義。そこではLINEもTwitterも使えない。連絡を取るためには現地製のアプリを使用しなければならない。Google製のものは検索エンジンでさえも使えない。困った。娯楽アプリが一切できない。ニコ動もyoutubeも全ての娯楽がつぶされてしまった。折角だし携帯から離れる生活も悪くはない。ニコ動みたいなサービスもあることだし。実は中国に居てもVPNの設定をすれば、設定先の国で使えるサービスは使うことができるのだ。同室の先輩は早々に設定して、東海オンエアを楽しんでいた。

 

武漢二日目 

-二日目 朝-

朝ごはんはホテルで済ませた。バイキング形式だが殆ど油物なため、朝から結構重い。

 

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二日目ご飯
-幕間 bilibili動画1-

一言でいうと、ニコ動の上位互換。アニメはちゃんと公式から放映されていて、中国人用に字幕までつけられていた。しかも、最新話の最初の一週間のみ有料。ニコ動とは真逆の料金システム。つまり、一週間さえ経てば放映されているアニメは見放題なのだ。しかも日本語で検索すれば対応するアニメもしっかり表示される。ニコ動でやってなかったのですっかり忘れていた” 擅长捉弄的高木同学”を視聴した。使用感としてはニコ動とyoutubeの間ぐらいでニコ動寄りといった感じだ。プレイリストでまとめられていたり、大体見れば操作できるし個人的にはめちゃくちゃ使いやすい。

 

-二日目 大学見学-

やはり中国、めちゃくちゃでかい。グラウンド一つとっても、正門一つとっても、何から何まで大きい。構内は平気で車やバイクが走っているし、歩行者は平気で車道を歩いている。クラス間を移動するためのスクールバスもある。乗車賃は一元(約15円)だ。大学構内のサービスはすべて学生証で享受でき、キャッシュレス化が進んでいる。

 

-大学写真群-

 

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入場門

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校風

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校内の美術館

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伝統的な寮

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"机"学院




-二日目 食堂-

入口を駅舎のように学生証を持つものだけが入れる仕組みだった。うちの大学もこれを導入してほしい。時間も時間なので、通勤ラッシュさながらのように通過する。さて、料理を注文しようとすると、それぞれの場所で貼り紙があった。「两荤一素10元」「一荤两素8元」などなど。先方の教授に聞いてみると、荤や素はそれぞれ肉のおかず、野菜のおかずを表していて接頭字は選べる種類の数を表している。つまり两荤一素なら、肉を二種類、野菜を一つ選べるわけだ。ご飯は勝手に付随してくるので、これだけのボリュームで約150円。安すぎる。当然、味は濃い。

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食堂

 

-二日目 おやつ-

学生二人は自由行動ということで、二人で街に繰り出した。大学の敷地内にあるというイオンみたいなショッピングモールを歩き回った。武漢大学、敷地が大きすぎやしないか?現地で流行ってそうなカフェを見つけ、ケーキとドリンクを注文する。初めて自分たちのお金を使ったが金額は48元。痛くも痒くもない。辺りには飲み物片手にパソコン作業している人がいたりして、ほとんど日本のスタバと変わらなかった。店名は「奈の雪茶」というらしい。

 

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草苺魔法棒と飲み物
-幕間 縁起物-

日本では1を起点として、縁起の悪い4をさけてナンバリングするが、中国では異なる。縁起の良い数字から好き勝手に取ってくるのだ。中国では8や9が縁起の良い数字とされており、その数字にまつわる番号を冠していることが多い。

 

-二日目 晩御飯-

中合わせて教授陣が7,8名ほどと食事と相成った。所謂ターンテーブルの席に通された。部屋番号は999。こちらの教授がこそっと、この店で一番良い部屋ですよ、と耳打ちしてきた。わぁ、緊張してきた。学生の僕、場違いじゃない?手始めに白酒を手元のグラスに注がれていく。さすがは高い度数だけあって匂いだけでもやられそうだ。また、部屋に専属の配膳する人がいて色々とお世話をしてくれた。どの料理もおいしかったのだが、特筆すべきは川魚の料理だ。臭みがあると聞いていたのだが決してそんなことはなかった。適切に調理されたそれは、まるで処女雪を散らすかのようにふわりと口でほろけながら、魚の持つ甘みが鼻腔いっぱいに広がっていった。日本では味わえない食材、料理に舌鼓を打ち、今日も大満足でホテルを後にした。

 

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本当の中華三昧

 

-幕間 bilibili動画2-

所謂”例のアレ”も盛んに作られており、団長のBBが未だに作られていた。使用例もクオリティがめちゃくちゃ高かったし、いつものシーンがCG回収と表現されていて笑っちゃった。団長は中国でも人気らしい。私はいまだにニコ動ユーザーであるが、アップデートに期待するよりもbilibiliで中国語を学んだ方が早い気がする。ほとんどの動画が日本語なので全然楽しめるし、なんならコメントも雰囲気で読めてしまうのだ。(团长!你在干什么啊团长!) ちなみに例のアレはinmだし、ぬきたしは抜作島と表現されるらしいよ。無駄な知識だけど。

 

武漢三日目

 

-三日目 朝ごはん-

今日も今日とてホテルで朝ごはん。ルームキーで入場ができる。慣れた手つきで丁度いい量の食事を摂り、スライド発表に向けてイメトレをする。昨日あまりに終わらなさ過ぎて、ちょっと寝不足になったけど、きっと何とかなる。

 

-幕間 キャッシュレス-

キャッシュレスと聞いていたが自分の想像を超えていた。露店でも、チケットの購入も、バスに乗るにも、お店で食事にもすべて電子マネーで出来るのだ。携帯にpaypayのようなアプリを入れておき、QRコードを読んだりすることで即座に会計を終える。現金で支払っているような人たちは私たちを除いて一度も見かけることがなかった。とりあえずクレジットカードを持って行った自分が恥ずかしかった。

 

-三日目 教授陣の発表-

国際会議でもするのかな?みたいな部屋に通された。黒や茶を基調とした部屋には高級感が漂っていた。完全に空気に呑まれそうなところに、先方の教授がやってきた。

「じゃあ、ここに先日受け取ったお金の受取サインをよろしくね」

とどめを刺された。これだけの価値のある発表しろってことよなぁ。そんなこんなで自大学の教授が喋り始める。全部中国語だから聞き取れない。スライドは一応英語だから読めなくはないけど。教室を見回すと、受講している生徒は40人弱。授業態度は日本とそんなに変わらない。注視したり、自分の事したり。情報系なのにパソコンを持っている人が少ない気はした。

 

-幕間 プライバシー-

中国でこの国に特有であるもの、それはおそらく至る所に監視カメラがあるということだ。中国は社会主義、この夥しい数のカメラによって動向を監視しているのだ。夜中になれば正しく撮影できるようにストロボが一定の間隔で焚かれる。そういう文化だからこそ、プライバシーに関する意識が薄いのかもしれない。動画サイトではアニメなどの二次元は日本によるものが多いが、三次元の動画は自作されているものが多い。しかもほとんどが顔出ししてある。顔を出すことに関しては日本よりも安全なのかもしれない。実は裏で問題が起きているのかもしれないが。

 

-三日目 お昼-

プライバシーに関する発表の時、生徒の食いつきが悪かったように気がする。文化の差があったりするのかな。そんな悠長なことを考えていたけれど、自分たちの発表が近づいてきた。緊張してきたが、その前にお昼ご飯。研究室の4人で食事に繰り出した。散々お店選びに迷って決めたお店が点心屋さん。何を食べるか迷っていると、広告の動画にふと目が留まる。それはパンパンに膨れており、液体が出そうなほど怒張していた。それは口にした瞬間、潮を吹く。一度飛び出してしまったら、歯止めがかからないようでドクドクとその中身をぶちまけていた。軽く1mは飛んでいるんじゃないだろうか。その艶やかな飛沫をみたとき、誘われていると思った。先生、私はこの小籠包にします。ここで食べた小籠包は人生の中で一番美味しかった。エビの旨味とか、種のジューシーさが襲い掛かってくるようだった。

 

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三日目昼ごはん
-三日目 発表-

発表のために通された部屋は首脳会談でも行われてそうなところだった。ちなみにB4は私以外居ない。与えられた時間は20分、用意したスライドは23枚。さぁ、プレゼンの時間だ。簡単に自己紹介、競プロについて、卒論の進捗、日本文化について説明していった。意外だったのは、だれ一人競技プログラミングしている人がいなかったところだ。折角なので、競プロは研究に役に立つよと布教しておいた。自己紹介でアニメとかゲームの話で文化差について触れたからつかみは良かったかな。あとは二年間ぐらいバイトで説明している日本文化を伝えていたらあっという間に時間は過ぎた。

 

-三日目 晩御飯-

今晩はホテルのビュッフェをごちそうになった。いつも朝で食べている場所だから、料理が違うだけだろうと高を括っていたのだが、そこでの光景に目を疑った。広くなっている。どうやら、朝の時は一部だけを解放していたらしい。始まりの町に居たら、終盤でしか入れない隠しダンジョンに入った気分だ。この部屋で100m走は出来そうかというぐらいの広さにあらゆる地方のあらゆる食材が並べられていた。鮑とふかひれのスープ、松茸のお吸い物、北京ダック、刺身、牡蠣などなどなど。これで148元って安すぎる。しかも中央ではバイオリンを弾いていたり、ピアノを弾いていたり、パフォーマンスも催されていた。すごいなぁ。ここのビュッフェで特徴的なのは各テーブルに火鍋があることだ。火鍋用の食材も自分で取ってきて、テーブルで調理していただくのだ。先方の教授に”10秒! 10秒! 十分!” と、作法を教わったので、それに従い口に運ぶ。ちょっと赤いけど大丈夫だろう。半生なんかに絶対負けない!スイーツも充実していたが、こちらはちょっと舌に合わなかった。あれよあれよとお代わりしまくりで今日も大満足。

 

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ホテル内

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ビュッフェの盛り付け例

-幕間 結婚-

中国では女性と結婚する前に、色んなものを貢がなくてはならない。住むための家、交通のための車。中国ではそこら辺の部屋でさえ、銀座で家を買うような値段がするらしい。それだけ人口が増え、住む場所が圧迫されているということなのだろう。だからこそ、一緒に過ごしていけるだけの経済力があることを示すために貢がなければならないのだ。

 

-三日目 夜-

めちゃくちゃ腹を下した。今までで一番体調崩したんじゃないだろうか。食べすぎ、疲れ、半生、そして腹の痛みで目を覚ました時には布団も何も被ってなかった。外国で生ものを食べるのは気をつけようね!同室の先輩には悪かったけど一晩中唸りまくっていた。初めは気持ち悪さや色んなものが綯交ぜになった痛みだったが、段々周期的な腹痛のみとなっていた。くっころせ、と姫騎士ごっこをしたり、出産ってこれ以上痛いんだろうなと思いながら痛みに耐えていると、ふと一つの知識を思い出す。人間死ぬ間際になると子孫を残そうと性欲が強くなる、と。しかしながらここは中国、ポルノ系のものも規制がかなり厳しい。適当に知っているサイトを打ち込んでもたどり着くことはない。どうやら幾らかあるらしいがそんなことはどうでもいい。この痛みよ、静まり給え。アーメン。

 

 

武漢四日目

-四日目 朝-

疲れからか途中で寝落ちして多少は回復したらしいが、この日一日は消化がされても一切吸収されていなかった。先生に助けを求めると、草を生やされた。漢方の丸薬を渡された。鬼武者なら体力全快したのかなと詮無いことを思いつつ、朝ごはんを見送った。

 

-幕間 トイレ-

中国のトイレはまだまだ発展途上という感じだった。宿泊したホテル以外でウォシュレットのついたトイレはなかった。必要な人は携帯ウォシュレットを持ち込もう。また、各個室にトイレットペーパーが付いていない場合もある。この場合は入る前に設置されているので忘れずに手に取っていこう。更に、女性用と同様にトイレには流せないものを捨てるごみ箱がある。これは自分で持ち込んだもので拭いた時に捨てるごみ箱だ。だから万が一に備えて、おしりを拭く用の紙を持参することを勧める。わたしは腹痛のため何度か駆け込んだが、そのたびに紙質が合わず裂けるような思いをした。

 

-四日目 黄鶴楼-

高校生で漢文を勉強していたら知らないものはいない程有名な詩人、李白の詩に詠まれた件の建物へ訪れた。建物内では数々の詩人が名を連ねており、李白をはじめ、王維や白居易、蘇軾などの詩が展示されていた。昔読んだ詩や人物が実際にここにあったんだなと思うと、灰色だった脳細胞が色気づいていった。唐突に現地の学生が問いを出してきた。”リーバイって知ってますか”。兵長かな、とつい口に出しそうになるが該当する英単語が出てこないので断念。人名は現地読みなので、該当するのは一人しか思いつかなかった。日本で有名なことは知られていないらしい。壁画で飲んだくれている彼について説明してくれた。

 

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故人西辞黄鶴楼
-四日目 自動販売機-

自動販売機でさえ、キャッシュレス化が進んでいた。何なら貨幣を使うことができなかった。学生に建て替えてもらい冷えた玉露の緑茶を飲み、懐かしい日本の味を堪能していた。飲み物といえば大体常温以上だし、食べ物はどれも濃いし。緑茶を口に含むたびに、目の前に日本が広がる。あぁ、こんなにも美味しいなんて。

 

-四日目 湖北省博物館1-

続いて、湖北省博物館にやってきた。ここでも入場は電子的なもので行われていた。進んでるなぁ。時代は2,3世紀のものから近代のものまで。日本が縄文時代ぐらいの時に、すでに中国は青銅器を作っていたというからには驚きだ。しかも、縄文土器並みの装飾が施されていた。そうやって作られたものは殆ど酒を容れるためのものらしい。めちゃくちゃ広くて好きな人はこれだけで一日過ごせるんじゃないかな。

 

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フーベイショウ
-四日目 湖北省博物館2-

昔の楽器を用いて演奏会が開かれるということで見学に。撮影禁止、ということもなくみな思い思いにシャッターを切っていた。こういう場でカメラを取り出せるのはなんだか新鮮であった。肝心の演奏はどこか懐かしいような音色ばかりだ。琴のようなものや、木管楽器から奏でられる音からはどこか日本を感じさせるようだった。曲調としてはFF9とか風来のシレンが想起された。

 

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演奏会
-幕間 教育-

中国では教育にものすごく力を入れている、と感じた。勉強ができる者への待遇が段違いだからだ。大学構内には大学へ行くものの家族が暮らせる住居を提供されたり、そもそも給料がよかったりと方々で感じる。バイト募集の貼り紙を見てみると、時給で28元。たったの450円だ。これだけ待遇がちがったら生活のために勉強を頑張るのは死活問題だな、と思った。

 

 

-四日目 火鍋専門店-

その日の晩ご飯は東京にもあると言われるほど、有名な火鍋専門店だった。そのビルの一フロア丸々がその店だった。先日の件もあり、火鍋は軽いトラウマを抱えていた。未だに腹痛も治っていないし。席に着くと、テーブルにある対応表を見つける。見ると、最低どれだけ火を通さないといけないかの一覧であった。曰く、最低でも15秒、長いものだと15分は湯に潜らさないといけないらしい。そりゃあ、お腹壊しますわ。火鍋用の調味料を自分で合成し、様々な食材(何の肉かほとんどわからない、蛙だけはわかった)を食べた。

 

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火鍋
-四日目 遊覧船-

長江から武漢を遊覧船で見回るツアーだ。遊覧船が出発すると、長江に立ち並ぶビル群が一斉に秩序だって光始めた。1km下らないであろう区間のビル群が一つの光景を作り出すのは圧巻と言わざるを得ない。こればかりは写真に残せるようなものではないから、イルミネーションなどそういうのが好きな人は是非訪れてみてほしい。黄鶴楼もぴかぴかとライトアップされており、孟浩然が帰ってきたらさぞ驚いたことだろう。

 

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遊覧船

 

-五日目 帰宅-

最終日は帰るだけだ。思えばあっという間だが、文章にするとかなり膨らんでしまった。これでも書き出せるものを厳選したつもりである。たった四泊五日なのに、数多くの見地を得た。実際に行ってみなければ感じられないことが多く、中国に訪れてみてよかったなと思った。いろんな意味で見る目が変わったと思う。国民性とかそういったところも大きく異なるところは見受けられなかった。”衣食を足りて礼節を知る“とはまさにこういうことなんだろうだな、と。とにかく、帰ったら日本のご飯が食べたい。

 

-番外編 戦利品-

一番高価なものは左下の扇子。498元したが、一目ぼれしてしまい購入してしまった。そのうちみんなに渡します。

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戦利品